『Laughin’』中塚武

Laughin’

Laughin’

音楽について文字で語るのは苦手なのでパス。下記で視聴できるようなので、まあ聞いてみてくださいな。ていうか、ビクターなのね。こういうインストとボーカルの扱いが平等な感じのでメジャーレーベルって珍しい気がする。
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A019524/-.html

『忍法八犬伝』山田風太郎

忍法八犬伝 山田風太郎忍法帖(4) (講談社文庫)

忍法八犬伝 山田風太郎忍法帖(4) (講談社文庫)

ああ、おもしろうてやがて悲しき、を地でいく素晴らしい完成度。どのくらいすごいかって言うと、しかつめらしく何事かを言う気も起きないくらい。
あの名作(といっても、未読ですが)『南総里見八犬伝』を下敷きに、その子孫たちが盗まれた“忠孝悌仁義礼智信”の八つの珠を取り返すために、伊賀のくノ一たちと忍術合戦を繰り広げる、というのが大まかなストーリー。おもしろいのが、その子孫たちというのが皆、例の“忠孝悌仁義礼智信”に反感を覚えている、という辺り。そんな彼等が唯一、忠義を尽くすのが主君の奥方である村雨の方。我関せずをきめていた彼等が、彼女に頼まれると人が変わったように、死地へと赴いていくのが小気味良くも切ない。滅びの美学、っていうと何か問題ある気もするけれど、やっぱりそれはあるよなあ、と思う。それでも悲壮感がそんなにないのは、彼等が決して気負ってではなく、惚れた村雨の方にいいところを見せよう、という子供じみた見栄からの行動だからでしょう。
史実との擦り合せがそんなにない分、『風来忍法帖』には譲りますが、これまで読んだ中でも上位にくる楽しさ。450ページ強が、あっという間です。
評価:B+

『灼眼のシャナⅩⅠ』高橋弥七郎

灼眼のシャナ〈11〉 (電撃文庫)

灼眼のシャナ〈11〉 (電撃文庫)

思えば、遠くに来たもんだ、というわけで、11巻目。アニメ化もされて絶好調ですね。時流に乗った、と言うことでしょうか。
今回は、インターミッション的な感じ。シャナがどんどん普通のオンナノコに近付くのと対照的に、悠二はどんどん人間離れしていってるのはおもしろい。最終的に立場が逆になったりして。それはそれで、少年マンガですが。文化祭の描写は、イリヤという偉大な先達がある以上、そこはかとなくおさむい印象を覚えてしまうのは瑞っ子としては致し方ないところか。一方で、挟まれる一見本筋と無関係な短文で、不安感を煽ったりして、常套ながら巧い描写。
まあ、大きく動くのは次巻っぽいので、今回はこの辺で。
評価:C

『黒猫・黄金虫』エドガー・アラン・ポー

黒猫・黄金虫 (新潮文庫)

黒猫・黄金虫 (新潮文庫)

ポーはやっぱりすごい、という結論。
黄金虫に関しては、後出しじゃんけん気味だったり、幻想と論理の混じりあいが中途半端だったりで、まあ普通って感じ(それでも、草分けであるわけで)だけれど、黒猫での善良な人間に潜む狂気の描き方や幕切れの鮮やかさ、言わずもがななアッシャー家の崩壊の文章の美しさ、ウィリアム・ウィルスンにおける先見性……ああもう、これは原文で読むしかないか!?無理!
というわけで、古典な割に読みやすいわ素晴らしいわなので読むべし、なのです。
評価:B

久しぶりに、ヴィレッジ・ヴァンガードに行ったけれど、あそこにいくといつも複雑な気持ちになる。愛憎相半ば、というか。置いてあるラインナップがどれも、自分の趣味に合う/合いそうなものであればあるほど。あそこは、こう、全身でアピールしている感じがするのね。「こう言うものを読む/聞く/持っている俺ってセンス良くね?」という目配せを、終始されているような気分になる。
いや、好きなんだけどね。ちょっぴり、吐き気がする、というか。うん、わかれ。


どうでもいいけど、意図してないわけでもないけど、混沌としたラインナップになってしまった。ま、いまさらか。

『魔法の眼鏡』ジェイムズ・P・ブレイロック

魔法の眼鏡 (ハヤカワ文庫FT プラチナファンタジイ)

魔法の眼鏡 (ハヤカワ文庫FT プラチナファンタジイ)

いまいち、しっくり来なかった。というか、絶対に子供向けなんかじゃねえ。
内容も、子供向けを意識してのシンプルなストーリーと、全編に漂う(ユーモアを上回るほどの)ペーソスが、いまいち噛み合わずにどっちつかずな印象に。魔法の眼鏡をかけると自分の部屋の窓が異世界へと通じる窓に、とか、月まで届く梯子(スパイラル・ラダー!)とか、ヘニー・ペニー人とか、つやぴかのドーナツとか、総じて道具立ては悪くないだけに、内容の空き具合が惜しい。テーマ自体が、いいところも悪いところも含めてあなたなんだ、というありふれたものであるからこそ余計に。


評価:C

録っておいたQueen+Paul Rodgersのイギリス公演を見る。90分という時間の短さで気付くべきだったけれど、やっぱりかなり端折られている印象。曲目自体も日本公演時と大差ないのは仕方ないとはいえ、物足りないというか残念というか。
それにしても、この中年どもの格好良さは異状。ちょっと惚れそうになる。ふう、危うく禁断領域に足を踏み入れるところだったよ。