高殿円『銃姫』

「ねえ、大きいのが好きなの?」
セドリックはこめかみに変な汗をかいていた。すぐ目の前で、アンブローシアがセドリックの方に顔をぐっと寄せてくる。
「小さいのはきらい…?」

すみません。理性が感情に負けました……。いや、大丈夫、トチ狂ってたりなんかしてないからっ、中身は案外ハードだったりするからっ、だから、今置いた距離をもう少し詰めてっ!!!
あらすじ。かつて神は人間の愚かさに怒り、彼らから魔法の力を奪い去った。けれど、人間は鉄の力、すなわち銃を借りて再び魔法を手にする。かくして≪魔銃士≫が生まれ、世界は戦乱の世へと突入した。そして今、奪われた伝説の銃≪銃姫≫を取り返すため、少年セドリック、その姉エルウィング、そして亡国の王女アンブローシアが旅立った……。
設定が「設定のための設定」に思えるところとか*1、導入部分が説明不足で唐突に感じるところとか、そもそも詰め込み過ぎで展開が急だとか、不満点は色々あったものの、引用部分で轟沈。ありがとう! こんなおいしいシーンをありがとう!
……いやまあ、本当は終盤の「何が正しいのか?」を巡る青臭い論議で大々的に見直したわけですが。嘘じゃないよ? 本当だよ?
消化不足な感は否めないけれど、惹き付けられるものがございました。佳作。
評価:C+。

*1:別に従来の魔法であっても問題ないじゃん、という印象が拭えない