小林泰三『玩具修理者』

第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。やっぱりホラーを真夜中に読んじゃだめね、とか思ったり思わなかったり。って、そこまで恐がりじゃないけど。
小さい頃、私の近所には玩具修理者がいた。彼は、独楽でもラジコンでも何でも直してくれる。だから、私は過って弟を死なせてしまったとき、彼のことを思い出した。玩具修理者なら、もしかして。そして、私は弟を彼のところへ持っていった……。
表題作は実に隙のない短編といった感じ。何でも直す玩具修理者といったアイデアもすごいと思うけど、それ以上に描写の不気味さが個人的にはツボ。途中で出会う友達との会話なんて、もう……怖かったり不気味だったりで、鳥肌ものです。
同時収録の中篇、「酔歩する男」は一風変わったタイムトラベル(本当は少し違うけど)もの。なんていうとまるでSFだけど、その仕立て方はまさしくホラーの文法。読後の現実の喪失感、酩酊感が溜まりません。
ところで、「泰三」で「やすみ」って読むんですね。寡聞ながら知りませんでした。だからなんだといわれると困りますが(^^; 
評価:B−。*1

*1:最初、付けてたんですよね。すっかり忘れてた。ということで、またつけてみようかな、と。ちなみに、評価なんてのたまっていますが、インスピレーションでつけてるのでかなり適当です