『しゃべくり探偵』黒崎緑

何も考えずに読めてとても楽しい。
和戸君のイギリス旅行から始まった4つの事件をめぐる、ボケ・ホームズこと保住君とツッコミ・ワトソンこと和戸君の大活躍?、というのが概要。
全編、これ、しょうもないギャグの連続なんですが、これだけ繰り返されると笑ってしまう。たとえば、こんなふう。

「しつこう言わんかて、おれかって、イギリスは知ってるわいな。秋になったら、ギ〜ッチョン、ギ〜ッチョン、って鳴く虫のことやろう」
「それはキリギリスや。おれが言うてるんは、イギリスや。大英帝国や」
「ああ、中内功社長率いるスーパーマーケットやな」
「それはダイエー帝国や。おれが言うてるのは、グレート・ブリテンのことや」

終始、こんな調子。畳み掛けられたら、そら脱力します。根負けして、笑ってもしまう。
さて、肝心のストーリーですが、これもしっかり及第の出来。いくつか、そんなに上手くいくもんかなあ、と疑問に思わないでもないけど、推理小説でそういう感想を抱かないものがいくらもあるかと思うと……まあそこから先は言わぬが華です。
いしいひさいちの挿絵もぴったり。地味にお勧め。


評価:B−