『幽霊たち (新潮文庫)』ポール・オースター

幽霊たち (新潮文庫)

幽霊たち (新潮文庫)

私立探偵ブルーは、ある日、ホワイト氏の依頼を受けブラックという男を見張ることになる。真向かいの部屋を借りて見張り続けるのだが、ブラックは本を読んだり書き物をしたりするだけで一向に変化のない毎日を送っているだけ。いつか退屈に囚われ自分のことに思いを馳せるようになったブルーは、段々と空想の世界に遊ぶようになるのだが……。
非エンタメ系の作品がこんなに解り易くていいんでしょうか?
と、妙な不安に囚われてしまうほど懇切丁寧な説明がいちいち挿入されて、確かに誤読の心配がないのはいいのかもしれないけど……。うーん、味わい的にもう少し含みがあった方が作品世界が豊かになるんじゃないかなーと思わないでなくもない。それは、あるいは登場人物と作者との間の距離感がかなりあった所為かもしれない。読んでいてすごい俯瞰している感じなんですわ、これ。別にそれが悪いって訳でもないんですけどね。ところで、これはこの人の持ち味なんでしょうかね? 初読なので解らんけど。まあ、それはともかく。なんだかんだ言って、ただ単に個人的にあらすじを読んだ時点でもっと異界に連れて行ってくれることを期待していたところ、その実、地に足ついていたので拍子抜けしただけ、だったりするかもしれない。
うーん、正直あまり好みではなかった感じ。まあ、俺が読めてないだけという可能性大なんですが、もう少し解釈の幅が広い方が個人的嗜好にはあってるかな。
評価:C