『犬婿入り (講談社文庫)』多和田葉子
- 作者: 多和田葉子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/10/15
- メディア: 文庫
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- 「ペルソナ」
ドイツに弟の和男と共に留学している道子。家庭教師のバイトをしつつ、どうにかこうにか暮らしていたのだが……。
偽物ですか、とシュタイフさんが眉をひそめて言った。まあ、そう言うこともできますが、でも、と道子はその面に親近感を感じながら言った。でも、スペイン製の能面が偽物だとすると、日本製の自動車もみんな偽物だということになりませんか。
感想に困ったので、取り敢えず引用してみる。
引用部に見られるように単調といっていい文章。しかし、普通なら文章下手だなあと思うところ、実際に読んでみると主人公の所在無さが表されている気がして、何ともまあ不思議な読み心地。上手い……のかなあ?
- 「犬婿入り」
ありふれた町の学習塾を経営している北村みつこの下に、まるで本物の犬のような男が転がり込んでくる。それは折りしも、彼女が「犬婿入り」の話をした後で……。
一転、こちらは一文が異様に長い。でも、これはどういう効果を狙っているんだろう。まくし立てられるというよりもだらだらと長い、といった感じだから、とりとめのないお喋りみたいな印象を与えたいのかな? 解説によると、異常を無意識的に日常に落としこむコミュニティの強固さとかが主題の1つであるようだし。うーん、でもやっぱりよくわかりません。
あまり優秀な読み手ではないので、やっぱり純文系は荷が重い。でも、わからないなりにおもしろかったですよ。
評価:B−