『血の12幻想 (講談社文庫)』監修:津原泰水
- 作者: 津原泰水
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/04
- メディア: 文庫
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- 「タルトはいかが?」小林泰三
拓哉という人物から姉へと宛てた一方的な書簡。最初は何の変哲もないものだったが……。短編としての出来はこれがいちばん、かな。腑に落ちる結末なのに、不気味な余韻もある。全てが語られないのもにくい。
- 「血の汗流せ」田中啓文
巨○の星の、最悪なパロディ。話には聞いていたけれど、本当に駄洒落作家なのね。もう脱力。しょーもねー!
- 「遠き鼻血の果て」田中哲弥
朝起きたら、浴槽に溜まった鼻血で体が固まってしまった男の話。ありえないけれど、実際にあったら間抜けかつ何気に深刻な状況が、どこかとぼけた文体で語られる。終盤の悪夢なんだか何なんだかな展開が素敵。
- 「茶色の小壜」恩田陸
といえば、グレン・ミラー……ではなく、日常に倦んだOLが、同僚の奇妙な行動が気になって――という話。きれいにまとまっているのだけれど、恩田陸に求めているのはこんな普通の話じゃない、という気はします。
- 「ちまみれ家族」津原泰水
文字通り、なぜか血まみれになってしまう家族を描いたスラップスティック・ホラー。日常に溶け込んだ異常が、そこはかとなく笑える。ちょっと、シット・コムっぽい。それにしても、命が安いなあ。
評価:C(平均して)