今更ですが……

今更読んだのは、ただ単に今まで借りる機会がなかっただけで、それで借りることができたから読んだ、と。まあ、そういうわけで。
えと、これは悪魔払いの話?でいいのかな。“悪魔憑き”というのが精神病の一種として広く認識されていて、その中のいくつかは本当に“悪魔が憑いている”としか見えない状態――肉体が変化しているとか――になる、と。ふむ。で、それを退治するのが主人公、石杖所在(アリカ)*1だ、と。
話運び自体は実に安定。形式的には『空の境界』みたいな感じで、1話完結の連作短編ってことなのだろうから、最終的な評価はともかくとしても、一篇だけで見てもよかったと思います。主人公はその性質上、“信頼できない話者”になってるってのは少しおもしろい。ま、今回はちょっとした悪戯位にしか活かされていない気もするけど。これから次第?
だけど、いい加減この人の“カッコつけてますよー”部分の文体は鼻についてきたな。左腕しか動かせない以上、石杖所在という存在は左腕に凝縮されるとか、これは格好いいんでしょうか? ちょっと外連味が過ぎる気が致します。あと、揚げ足取りですが俯いた後ろ姿は、崩れ落ちる寸前の美術館を思わせたって、どんな後ろ姿なんでしょう……? 謎です。*2ただ、コメディ部分は上手くなったなあ、と。『月姫』ん時、ここまで上手かった覚えがなかったんだけど、個人的に好きなユーモアの方向性と近かった所為で楽しく読めました。や、満足です。なんだかんだ言って、結局好きなんですね、私。
どうでもいいけど、ナチュラルに未成年に飲酒させるのはどうかと思った。

*1:しかし、すごい名前だ……。

*2:或いは、俺の想像力が足りないんでしょうか? むう。