『時の果てのフェブラリー』山本弘

突如現われた時間重力異常地帯――<スポット>によって、地球は危機に陥っていた。物理学者もお手上げ、そもそも科学調査すらままならないこの不可解な現象。それを解明するために白羽の矢が立てられたのが、オムニパシー能力を持つ少女――フェブラリーだった。
あー、うー、おもしろいです。おもしろいンですけどね。どうにも色んな要素があり過ぎて、収まりが悪いといった印象。
基本ラインは<スポット>と呼ばれる磁気が乱れ、重力が弱くなり、時間の進みが速いという現象を解明するというハードSF。そこに、オムニパシーを持つが故の悩みを持つ少女、フェブラリーの成長物語が挿入され、そして実はファースト・コンタクトものであったり、とまあざっと挙げてみただけでも盛り沢山な内容。別にそれがお互いに齟齬を起こしてるわけじゃない。ただ、それを描くにはどうにも尺が足らなさ過ぎる気がして。そういう感想を抱くのは、人物としてマトモに描写されているのがフェブラリーとその父親、バートだけってのも影響してるかも。名前と役職だけで性格のよくわからないキャラがどれだけいることか! 逆に言えば、この二人の関係性だけに絞って考えれば軸はそんなにぶれていない、かな。
SF的な説明は、正直理解できていません、情けないことに。ただきちんと説明しようという意識はみれたので、純粋に私の理解力不足でしょう。
個人的な評価としては5点満点中3.5点くらいでしょうか。もう少し上でもいいかもしれません。や、なんだかんだ言って楽しかったです。