『壜の中の手記』ジェラルド・カーシュ
- 作者: ジェラルドカーシュ,Gerald Kersh,西崎憲
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2002/07/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
以下、気に入った短編いくつかの感想を。
「豚の島の女王」
蝿の王のフリークス版といった趣き。どんどんと悪い方向へと転がっていく様がいっそ心地よい。
「黄金の河」
一千万個のトクテ・ナッツのうち、一つだけ知恵を授かった、という発想がとにかく素晴らしい。話の展開自体も何とも不器用な感じで不思議な味わい。
「壜の中の手記」
要するに『注文の多い料理店』。主人公たるアンブローズ・ピアスのことを知らないぶん、真に面白さがわからないだろうことは残念。
「破滅の種子」
最初に吐いた嘘がどんどんと大きくなっていき、やがては本当になっていくというトンデモ展開が楽しい。最後のオチの解釈によって、読後感が変わりますね、これは。
「刺繍針」
作中で、いちばんこわい一篇。そんな馬鹿な、と言えない時代に既になっているあたり恐さ倍増であります。
「狂える花」
マッドサイエンティストはやはりよいものです。展開自体はフツー。
「死こそ我が同士」
どんどんとエスカレートしていく死の商人っぷりが素敵。全編ブラックユーモアに溢れていますが、ラストはそこはかとなく恐ろしい。
思っていたよりはわかりやすい作品が多かったかな。や、おもしろかったです。
ところで、ほぼ全編語り手が当事者ではなく、第三者ってのは何か意味があるのかな。そこらへん考察してみるとおもしろいかもしれないけど、面倒くさいからいいや(えー