『タイムスリップ・コンビナート』笙野頼子
- 作者: 笙野頼子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/02/10
- メディア: 文庫
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というわけで、久しぶりに文章読んでるだけで幸福感に浸れた、笙野女史の第111回芥川賞受賞作をはじめとする全3篇。でも、やっぱり内容はぶっ飛び過ぎててさっぱりなのであった。では、あらすじっ。
- 「タイムスリップ・コンビナート」
マグロに恋する夢を見ていたら、電話がかかってきて海芝浦に行くことになった。着いた先は沖縄海岸で『ブレードランナー』で東芝で海だった。
- 「下落合の向こう」
以前のわたしはよくこう考えたものだった。電車という言葉もそれを巡るシステムも全て幻なのだ、と。そういえば、わたしは下落合の向こうに行ったことがなかった。
- 「シビレル夢ノ水」
チャリネ――いや、兎虎(とこ)は野良かと思っていたら迷い猫で、飼い主が迎えに来て去った後には蚤が残されてた。
たぶん、あらすじを紹介することに意味はない。いやまあ、あまり本気で書いてないのもあるけど、実際そう本編と変わらない。と思う。
自分でもなんで笙野作品を読んでいるか実に不思議で、実際全く理解できてない。たとえば、巻末のマキャフリイとの対談で著者自らが表題作のテーマを「恋愛には相手が必要なのか」と述べているけど、自分は単にシュールな世界をただ楽しんでいただけだったりする。更に言えば、「シビレル〜」は蚤の描写が生々しくて、むしろ苦痛だったし。もちろん、解釈の仕方は自由なのは百も承知ではあるのだけれど、その解釈自体出来てないわけで。「既知のものを未知化する」とか言われても「ふ〜ん」ぐらいしか感想が浮かばない自分では、真には楽しめないのかな、なんて思う。それでも序盤は吹き出してしまいそうになるほど不条理で、巧みな文章は読んでいて心地よいから、ついつい読んでしまうのだけど。
ううむ、感想がまとまらない。というか、感想になってない気が……。んー、評価は今回はパスで。
*1:葵井巫女子@『クビシメロマンチスト』