『人間の手がまだ触れない』ロバート・シェクリイ

SFが苦手な人*1にも安心して勧められる、大変によく出来た短編集。ウィットに富んだストーリー。意外な結末。全13篇、ハズレなし。

個人的に好きなのは、人で在らざるものたちの生活様式がブラックユーモアとして素晴らしい「怪物」、食料を求めて未知の惑星に降り立った宇宙艇乗組員の顛末を描く表題作、不意に頭に響いた声が導く新たな世界を垣間見た主人公が最後に見た景色とは……な「あたたかい」、サラリーマンの悲哀を描き*2笑いを誘う「悪魔たち」、締めを飾るに相応しいほんのりと抒情的な「静かなる水のほとり」あたりでしょうか。

おもしろいんだけど、短編として洗練され過ぎていてなんか物足りない。全てが納まるべきところに納まってしまうというか。んー、ないものねだりかなあ。評価は4点ってところで。

*1:自分含めて。好きだけど、苦手なんです

*2:もちろん、嘘。でも、読めばわかる