ティム・バートンの「コープスブライド」

なんだか、映画は久しぶり。しかし、なんでわざわざ“ティム・バートンの”をつけるのかね。“スピルバーグの”とか、“マイケル・ベイの”とかでもあるのか。
たわごとはさておき、あらすじ。

19世紀のヨーロッパの片隅、ドート家とエバーグロット家の結婚が行われようとしていた。片や新興の成金、片や没落貴族。絵に描いたような政略結婚。けれど、当事者の2人――気弱な青年、ビクター。“愛のある結婚”を夢見る、ビクトリア――はまんざらでもない様子。このまま万事上手く収まるかと思いきや、ビクターはリハーサルに大失敗、近くの森で練習することに。けれど、それがトラブルの始まり。不幸な偶然が重なって、ビクターは死体の花嫁(コープスブライド)――エミリーに、結婚を誓ってしまう。かくして、死者と生者の奇妙な三角関係が始まってしまったのだった。


とにかく、よくできたお話。ストーリー自体は、決して目新しいものじゃない。意外な展開や、斬新な演出なんてものもない。すべてが収まるべきところに収まる、実にウェルメイドなつくり。悪く言ってしまえば、予定調和。
だから、問題となるのは細部なのだけれど、それがもういちいち決まる。クスリとさせるところでは、きちんと楽しく、涙を誘うところでは、きちんと物悲しい。
時間的には短めな所為もあって、物足りないところもあるけれど、それはもう贅沢な望みでしょう。本当にいいものを観た、という感じ。おもしろかったです。