『日蝕』平野啓一郎
- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/01
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 61回
- この商品を含むブログ (94件) を見る
典雅な擬古文体で綴られる、その語り口は三島由紀夫の再来と謳われるだけあって、確かに大変に達者で、若くしてこれを物した作者には驚愕の感を禁じえないわけですが……うーん、一目惚れするほど*1ではないんだよなあ。あくまで個人的感想ではあるのだけれど、何というか技巧的に過ぎる感じ。
ストーリー展開にも似たものを感じていて、終盤、とりようによってはかなりのトンデモ展開になるのですが、そこでも理性を感じてしまう。全てのキャラクターが、作者の計算の下に動かされているような、そんな印象を抱いてしまっていまいち食い足りない。
個人的には、もっと情熱が迸って制御できてないような作品の方が好ましく感じます。
評価:C+