『ゲイルスバーグの春を愛す』ジャック・フィニイ

この作者の作品は始めてなので、速断は禁物なのだろうけれど、取り敢えずこの本を読む限り、いくつか特徴をあげるとすれば、ノスタルジーとセンチメンタリズム、その裏腹としてのペシミズム、といったところになるのでしょうか。表題作なんてまさにそうで、過去が現代に抗い、侵食する話。そうした作品の常として、抒情的に語られる話はまた、奇想に彩られて鮮烈なイメージを残す。
個人的に、過去肯定の作品に対してはどうも抵抗感を感じてしまうのでいまいちのめり込めなかったけれど、レベルは高かったと思われ。
評価:B−