『念力密室!』西澤保彦
- 作者: 西澤保彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 文庫
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そんなわけで、「チョーモンイン」シリーズの第一短編集。すべて密室殺人事件、というふうな括りでまとめられています。
さて、普通なら「いかにして密室が作られたか?」に焦点が集まるところですが、このシリーズにおいてそれはありません。なぜなら「すべてサイコキネシスで密室が作られているからですっ(ばーん)!」。嘘じゃないよ、ホントだよ? というわけで、話はHOW(どうやって)ではなく、WHY(なぜ)密室が作られたのか、が中心とあいなります。
そうなれば、作者の真骨頂。愛憎渦巻くドロドロの展開が、もう、こ、これはひどい、てな程に繰り広げられます。もちろん、後味悪くするためだけに設定されているわけでなく、犯人の論理(それはしばしば、自分勝手なものであったりするのですが)がそうしたものだからこその推理の楽しみがあるのですが。
長編では鼻についた妙に大仰な論理も、短編でさらっと流されているとそう気になりません。純粋に推理ゲームとして楽しめます。それにしても、能解警部はひどい目に遭い過ぎ。作者はいじめっ子ですね。
評価:C+