『ひかりのまち』浅野いにお

ひかりのまち (サンデーGXコミックス)

新興住宅地「ひかりのまち」を舞台にした連作短編。以下、それぞれについての雑感。

• キラキラ星はどこへゆく

よくある「あのころ夢見てた自分と現実とのギャップ」に苦しむ話。既にこのテの話は食傷気味だけれど、装飾がいいので読める。

• バスストップ

おそらくこの本を読んだ人の大半がベストにあげるだろう一篇。そして、私もそのひとり。わかりやすくてスマン。ボーイ・ミーツ・ガールに色々添加していったら、科学反応を起こしてえらいことになってしまった、みたいな話。唯一、舞台設定がわかりやすい形で活きている一篇だと個人的には思う。終盤のどんでん返しが真っ黒な割に、読後感が不思議と爽やか、に感じられてしまうのは卑怯な気がする。

• ｈＰａ

普通のガール・ミーツ・ガール、あるいは持てる者と持たざる者の話。最終的にその構図がひっくり返ってるようで、その実なんも変わってないあたりひどいなあとは思う。あのモノローグについては判断不能。ただ、読み辛いだけ、という気も。

• ＨＯＭＥ

サトシの顔を一目見た途端、「ドクター・テ○マだ」という思いがこびりついて、以後へたれた言動をする度にウケてしまってしょうがなかった。それはともかく、こういう擬似家族モノは大好物なので嫌いなわけもなく、普通に楽しめました。

全体的な印象としては「よく出来た連作短編集」。ファッションとしてマンガを読んでるような層に好かれそうな気は何となくする。