[本][岩本]『星虫 (ソノラマ文庫)』岩本隆雄

星虫 (ソノラマ文庫)

星虫 (ソノラマ文庫)

遊び人Lv.1の人が、ロケットの運転手さんを目指していたら、イーアに取りつかれてしまった話。嘘。
実に真っ当なジュブナイル。幼いころの夢を諦めていない少女――氷室友美が、周囲からどんな目で見られるかも認識していて、優等生を演じているのだが、そのことに息苦しさも感じている、なんてあたり極めて健全。あと、普段居眠りばかりしているボサボサ髪の男の子が実は……とか、あまりにお約束過ぎて笑ってしまったよ。ていうか、“寝太郎”という綽名はどうなんだ? いくら10年以上前の作品とはいえ。他の登場人物にしても、友美に想いを寄せる直人が勉強もできれば運動も得意なんていう完璧超人*1だったり、その幼馴染の洋子は直人に実は恋心を抱いていたり、と「いったい何年前の少女マンガやねん?」などと思わず突っ込みたくなってしまう。
……まあ、私、こういうコテコテなのも好きだけどね。
それにしても、上手くキャラクターを捌けていない印象。中盤での直人を見て、もっとダークサイド方面に流れると思ってたのにっ!<そこかよ
あくまで爽やかなままで終わっているのは、まあ良いんでしょうけど個人的には物足りないです。
あ、星虫の正体は普通に驚きました。そこは良かった、かな。ただ、それも含めて色々あっさりとわかりすぎてしまって御都合主義な感じがそこはかとなく。
まあ、変に判りづらくなるよりはマシですが。
評価:B−

*1:でも、登場した早々当て馬臭がぷんぷんなあたり、可哀相な人だけど