『私小説 from left to right (新潮文庫)』水村美苗

私小説 from left to right (新潮文庫)

私小説 from left to right (新潮文庫)

「美苗」は12歳で渡米し滞在20年目を迎えた大学院生。アメリカにとけこめず、漱石や一葉など日本近代文学を読み耽りつ育ったが、現代の日本にも違和感を覚え帰国を躊躇い続けてきた。To return or not to return. 雪のある日、ニューヨークの片隅で生きる彫刻家の姉と、英語・日本語まじりの長電話が始まる。異国に生きる姉妹の孤独を浮き彫りにする、本邦初の横書きbilingual長編小説。
あらすじは裏表紙からの引用。
面白かった。自分が些かの見栄もなく純文学作品をそう言えるのは本当に珍しいのだけれど、掛け値無しにそう感じた。いろいろ書くと馬脚を表してしまいそうなので、迂闊なことは言いたくないのですが、取り敢えず自分がどこを面白いと感じたかくらいは書いてみたい……と思ったところではたと困ってしまった。この作品に関して、俺はただ文章読んでるだけで幸せだったんですが、つまりおそらくはそれは普遍的なものでなくひどく個人的なものなわけで、ただ単に「何となく好き」というのとそれはまったく変わらないわけで。ということで、ここは上記のあらすじを読んで興味を引かれたなら読んでみては如何、というに留めてしまいます。どっとはらい
評価:A