『サムライ・レンズマン (徳間デュアル文庫)』古橋秀之

サムライ・レンズマン (徳間デュアル文庫)

サムライ・レンズマン (徳間デュアル文庫)

SF作家E・E・スミスの代表作『レンズマン』シリーズの外伝的作品として企画されたもの。ちなみに、本家の方は読んだことは残念ながらありません。
とにかく格好いい! 熱い! 燃える! しかし、それより何よりも古橋が真っ当なヒロインを書いていることに驚いた。確かに跳ねっ返りでガサツで男勝り、というか(性格が)男前だったりはするけど、ドレス姿に照れてみせるなど十分に魅力的なヒロイン。でも、考えてみれば今までだってヒロイン然としたキャラは出ていたのか。ただそれが、血まみれだったり電波だったり尼さんだったりするだけで。
ストーリー的には若干大味な気もしないでもないけど、敵役がいかにも古橋っぽく『ハハハ死ね死ねハハ死ね』とか言ってくれて魅力的だし、主人公のサムライ・レンズマンことシン・クザクは何かにつけハラキリしたがるようなアメリカ人の偏見に満ちたサムライ像的な造形でそれも楽しい。本家の方も読んでみたくなりました。
評価:C+