『よくわかる現代魔法 (集英社スーパーダッシュ文庫)』桜坂洋

SFM読者賞を受賞したり、2chラ版大賞を受賞したりと最近何かと話題の桜坂洋、そのデビュー作であります。

ものにぶつかったり、なにもないところで転んだりするのがこよみは得意だ。十五になるこの年まで、バンソーコーを持ち歩かなかったことはない。

あらすじ。ドジで何をやっても中途半端な森下こよみは、自分を変えようと「あなたも魔法使いに!」などと書かれた怪しげなチラシに導かれて、現代における最強の魔法使い美鎖と出会う。なんやかやあって、現代魔法を習うことになるこよみだが彼女の魔法はヘンなふうに発動してしまい――。一方、ネットワーク上では謎の魔法が発動し始めていた……。
えっと、「『現代魔法』は2巻からだ!」なんて風評を聞いて覚悟していたのですが、案外普通に楽しめてしまいました。
本作のミソは、魔法をコンピュータのプログラムと同様なものと設定したところで、「高度に発達した科学は魔法と同じだ」なんて誰かの言ではないけれどある意味でそれを地で行っているところ。まあたぶん、それが活かせていないところが評価が低いところなのかなー、と推察するのだけれど何分読書に関しては悪食なため自信はない。ライトノベルに関しては特に評価甘いし。一方で登場人物の設定なんかはあざといというかステレオタイプの域を出ないものであって特筆すべきところはなかったりするのだけれど、ズボラなお姉さんは好きですかはい好きですと即答できる自分にとっては満足できてしまうあたりダメ人間だなあと思う。あと、ドジっ子も好き。文章的には引っかかるところは余りなかったので、まあ及第点でしょう。
少なくとも次刊に期待できる程度の出来ではあったと個人的には感じられました。
評価:C+