『時間のかかる彫刻』シオドア・スタージョン

時間のかかる彫刻 (創元SF文庫)

時間のかかる彫刻 (創元SF文庫)

時間短縮のために気に入った順に箇条書きで。

これだけ中篇。絵の描けない絵描きが、夢の中で囚われの騎士と同化する、その飛躍するイメージが素晴らしい。結末も如何にもスタージョン節といったふうで、何故そこに繋がるのか意味不明ながらロマンチックで良いです。

  • 「時間のかかる彫刻」

ヒューゴー・ネビュラ両賞受賞作。科学の発展と盆栽を繋げて、ラブストーリィに仕立て上げるなどという理解不能なことをしながら、不思議と調和していて驚く。最後の数ページ、それだけでも読む価値があります。

  • 「<ない>のだった――本当だ!」

トイレット・ペーパーから始まるバカSF。もしくは、豪快な法螺話。有り得ない、となどと思いつつも最後には科学批判に落ちついていたりしてビックリ。でも、やっぱりバカで楽しいのであった。

  • 「フミレス伯父さん」

これも法螺話といった感じかな。牧歌的な雰囲気に、ほのぼのとさせられます。

全体的にSF色が低めで、その点は残念。逆にいえば、その分だけわかりやすいともいえそうですが、やっぱりちょっと物足りないかな。それでも、十分に面白いのですが。