『平井骸惚此中ニ有リ②』他

えっと、めんどうくさいのでまとめてやっちゃいます。
2巻は洋館を舞台とした、華族でのお家騒動もの。道具立てだけ見れば、横溝ばりの血みどろの惨劇になりそうなもの、独特の講談調であくまで軽くなっています。それがいいか悪いかは判断のしどころですが、まあターゲットを考えれば妥当かな。でも、やっぱり小粒感が拭えない。

3巻では、主人公たる太一君の許婚と名乗る女性が現われて、ラブコメ度が一気に上がります。つくづくその方面ではお約束を踏襲する人だなあ。俺は好きだけど。そして、起こる誘拐事件。容疑者は件の女性、ということで太一君の一念発起する姿が新鮮。ミステリ部分では及第点以下だけど、こうしたキャラクターの見せ方はなかなかだと思う。そして、たぶんそれが展開としては正解でしょう。

相変わらず、小さく纏まり過ぎている感はあるけど、安心して読める良作といったところ。あとはもう少しミステリ部分に力を入れてもらえれば……。それと、1巻で示した「人が何故殺人を起こすのか」についての論理が、少し物語を縛り過ぎな気が。まあ、そこはあるいは魅力でもあるんだろうからいいのか。