『人間以上』シオドア・スタージョン

人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)

人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)

えーと、スタージョンが好きだと言っておきながら、未読だったのでした。というわけで、やっとこさ読んだのですが。さて。
なんで、この題材選んでこんな展開になるかなあ?(誉め言葉) わけがわかりません。ざっとあらすじを紹介すると、
周囲から厄介者扱いされているかれらは、実は超能力の持ち主である。一人一人では無駄な能力だったが、結集することで“人間以上”の存在へとかれらは変貌したのだった……!
うーん、ちょっと違う気もするけど、まあ、いいや。いわゆるミュータントものなわけですが、これがまあ全く予想もつかない方向にいってしまう。一言で言うと、異なる存在であるがための孤独の物語なわけです。かれらは集団でありながら、一個の存在として行動する。ときにその孤独が癒されることもあるが、それはすなわちかれらに一個の存在であることを許さないことを意味するが故に、かれらはそれを拒絶せざるをえない。生まれた時から独りであることを宿命付けられたかれらの明日はどっちだ!?という話なんです。たぶん。
ただ、それを魅せる為の物語の展開がなんともヘンな感じなのですよ。ここら辺はまあ、読んでみてください。紹介したところであまり意味はないと思うので。
個人的には、スタージョンの文章は大変に琴線に触れるために傑作認定することも辞さない勢いなのですが、人に薦めるとなると……うーん、短編の方がおもしろいかもなあ。取り敢えず、『不思議のひと触れ』あたりから入るのが正解な気はいたします。