『赤×ピンク (ファミ通文庫)』桜庭一樹

赤×ピンク (ファミ通文庫)

赤×ピンク (ファミ通文庫)

躁鬱激しい見た目14歳実年齢21歳、魅せることを喜びを感じる女王様、女の子にモテモテなのに女性恐怖症、などなどが非合法ファイトクラブキャットファイトをするお話。
ファイトクラブなんていう物騒な舞台と相違して、本作の主題は(恥ずかしげもなく言ってしまうと)愛。英語で言うとLOVE。で、困ったことに、女の子は砂糖菓子で出来てるのよー、とか、夢と恋と不安で出来てるのよー、とか与太はともかく、とかく幻想を持ちやすい自分ではあって、ここで描かれている感情に共感するのに一抹の不安を覚えてしまうわけですね。というか、理解できるようなできないような曖昧な感じ。なのに、女性は共感できるのか否かによって、評価がガラリと変わってしまうような作品なわけですよ、これは。というわけで、自分には判断不能。まあ、作者が女性という部分において、一定の証左があると言えるとは思うのですが。
ところで、普段、自分はイラストはほとんど気にしない人(少なくとも作品購入の目安にはしない)なんですが、本作において初めてその威力を感じました。やはり、高橋しん*1は強力。作品のイメージが数段上になってしまった。
文章自体はすらすら読めるし、合間に挟まれる小ネタ*2にはついついニヤリとさせられてしまうしで、勧めはしませんが、嫌いではありませんでした。女性の感想が聞いてみたいですねー。
評価:C

*1:ちなみに『サイカノ』より『いいひと。』の方が私は好き

*2:キューブリック派とデビッド・リンチ派、タルコフスキー派とクローネンバーグ派、三島派と太宰派は仲が悪いのか?w