『素晴らしき犯罪 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-5)』クレイグ・ライス

素晴らしき犯罪 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-5)

素晴らしき犯罪 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-5)

めっちゃ楽しい〜〜〜!
二日酔いの花婿デニスが目覚めると、そこには弁護士マローンやジャスタス夫妻がいた。昨夜、酔った彼を、マローンたちが引き受けたのだ。デニスが花嫁のもとへ戻ろうとしたとき、警官が訪れ、花嫁が殺されたと告げた。だが、その死体を見たデニスは意外なことを口にした。これはぼくの妻じゃない!
ただただ楽しくて、だけど実はあまり言うことはない。トリックに関しては十分に及第点で、とはいえ別にそれほど驚くものではないし、明るい雰囲気の裏に仄見える黒さもさらっと流していて、作風から言えば適当なんだけど個人的には食い足りない印象。けれど、そんなことはどうでもよくなるくらいキャラクターがいいのです。
ポーカーですってしまってとにかく早くシカゴに帰りたくてならないマローンや自分の小説を出版者に売り込む為に右往左往するジェークはとにかくおかしいし、「警察なんてどこも同じ」と見栄を切るへレンはひたすらに格好いい。警官3人組はだれもへっぽこで、中でもことあるごとにマローンを「いとこなんだ」と強調するオブライエンは個人的にお気に入り。
ひさしぶりに小説読んで噴き出してしまったよ。いや、ゆかいゆかい。
評価:C+
ところで、西澤保彦の『彼女が死んだ夜』での法月の解説はまさにその通りで、あまりの符合にびっくり。読み比べてみて楽しかったけれど、読む順番的には逆の方がよかったかなあ、とは感じた。