『西の魔女が死んだ』梨木香歩
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/08/01
- メディア: 文庫
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あー、うー、微妙。流れる雰囲気は割と好きなんだけど、時折出てくる説教臭さというか分別臭さがどうにも鼻にかかる。そこらへんは、まいの中学生の少女らしい潔癖さにも垣間見えて。そうした感情は当然だと思うんだけど、物語的にそれが肯定されてるような気がしてなんとも座りが悪い。でも、そういう非難が「だって児童文学だし」で封じられてしまいそうなんだよなー。うーん、フラストレーション溜まる。
キャラクター的には、おばあちゃんが魅力的。温和そうなのに、笑い方が“にやり”ってところが。つうかね、はっきり言ってしまえば、それ以外が乏しい。まいに感情移入できるようならいいんだろうけど、さすがにねえ……。それと、「おばあちゃん、大好き」「アイ、ノウ」というクリシェは、ちょっとしゃらくさい。
あと、感じたのは視点について無頓着だな、と。基本的にまい視点の三人称なんだけど、平気で変わるし、過去の話での現在への言及も気軽にやっている印象で。まあ、別にそれだけなら読み辛くなければ問題ないんだけど……。これ、地の文での呼び方が、まいが呼ぶ呼び方と同じなんだよ。例えば、藤沢さん、とか、あやさん、とか。それで、まいの知り得ない部分までやってしまうから、どうにも居心地が悪い。まい=神の視点、みたいで。あー、でもこれも「だって(ry」で片付けられてしまいそうだなー。
描写的には、上手い作家さんだったので(p.121の今日は昨日の続きだった、とか平易な文章なのに実に上手い)、この作品がたまたま合わなかっただけかも。処女作だしね。機会があれば、別のも読んでみようかな。でも、当分はいいや。