『ラヴクラフト全集①』H.P.ラヴクラフト

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

いわゆるクトゥルフ神話
あー、なるほど。そりゃ『パラサイト・ムーン』*1クトゥルフ改変ものと言われる訳だわ、と明らかに変なところで納得。
以下、それぞれの作品ごとに二言三言。

何といっても、異形なものたちの描き方が素晴らしい。語らないことによって語っているとでも言ったらいいか。五感全てを使っての気味悪さの演出も上手い。段々と追い詰められていく感覚もたまらない。そして、最後が秀逸。やはり、ホラーのラストはこうでないと。

  • 「壁のなかの鼠」

収録作の中で、個人的にはいちばん好き。この語り口であのラストで合わせ技一本、といった感じ。他と比べて絵的に想像し易い分、ショックも倍増。合理的に解釈も出来るあたりのさじ加減も絶妙。

  • 「死体安置場にて」

なんというか、都市伝説っぽい。オチのつけ方とか。つまらないわけじゃないけど、凡庸。

  • 「闇に囁くもの」

主人公がアリジゴクに自ら入っていくのが楽しい。作中、突っ込みっぱなし。「気付けよ!」みたいな。いや、しっかり恐いんですが。手紙の内容が段々と追い詰められていくところとかね。ラストは……どうなんでしょう? もう少しぼかしたくらいの方が良かった気はします。

いや、大変に楽しかった! 5点満点で4.5点くらい。いや、まあ今更私ごときが言うまでもないんでしょうが……。つうかですね。こんなヘボ感想読む暇あるなら、さっさと読んだ方がいいですよ。いや、まじで。

*1:渡瀬草一郎の伝奇ファンタジーもの。挿絵が本文と全く合ってないのが惜しまれてならない