『空ノ鐘の響く惑星で⑤』渡瀬草一郎

空ノ鐘の響く惑星で〈5〉 (電撃文庫)

空ノ鐘の響く惑星で〈5〉 (電撃文庫)

さくっと読了。個人的に本当に打ち切られないかハラハラしている、SF風味の正統派戦記ファンタジーの最新作。前回は少年マンガ的な楽しさがあったものの、少々ご都合主義的な部分があったり展開が早過ぎたり、と今後の展開に不安を覚えないでもなかったのだが、さて……。以下、内容に触れます。
今回は、打って変わって地味ながらも堅実な展開。タートムの脅威は着実に迫り、神殿側との関係修復も絶望的、頼みのウルクは記憶喪失に……と、きちんとピンチに陥っていて安易な展開にはならないようで一安心。お話的には完全に「待て次回!」なので、評価はしづらいけれど次巻以降に訪れるだろうカタルシスへとしっかり続けられていたか、と。
個人的には何と言ってもアマゾンのフェリオ争奪戦への参戦が。もう、ニヤニヤしっぱなし。ウルクも記憶を奪われながらも、フェリオの事を完全には忘れてはいない素振りが見えて、王道だとわかっていても良いものは良いのです。これにてめでたく三角関係成立ということで、今後が楽しみ。また、今回も来訪者(ビジター)方面が結構描かれましたねー。シアの能力とか、イリスの小物っぷりとか。個人的には、パンプキンがお気に入り。酔狂な戦闘狂にして、詩人(笑)。ツボです。ただ、エンジュがどんどん超人化が進んできているのが・・・・・・。観察眼が鋭いからって、人情の機微に聡いっていうのはさすがに違和感が。
とまれ、次巻が楽しみ。評価としては5点満点で3.5点といったところでしょうか。今後次第で評価も変わる気がしますが、さしあたりということで。